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地中海食パターンに寄せる

野菜・果物・全粒穀物・オリーブオイル・魚を中心とした地中海食パターンは、心血管疾患リスクを下げ、認知機能維持にも有益です。PREDIMED 試験で主要心血管イベントの約 30% 低下が示されています。[Estruch R 2018]

最終更新: 2026-05-09

木のテーブルに並ぶ地中海料理の数々
Photo by Alexandra Tran on Unsplash

「最も強いエビデンス」の食事パターン

特定の 1 つの食品ではなく、食事のパターン全体 で見たとき、 「健康寿命をのばす」ことの証拠が最も強い食べ方の一つが、地中海食 (Mediterranean diet) です。 野菜・果物・全粒穀物・豆・ナッツ・魚を中心にします。 脂は主にオリーブオイルからとり、赤身肉と精製した砂糖は控えます。

PREDIMED 試験 — RCT による主要心血管イベントの低下

地中海食の効果を、大規模な試験で調べたのが PREDIMEDPREDIMEDスペインで行われた、地中海食に関する大規模な RCT (2003〜2011)。心血管リスクの高い 7,447 人を約 4.8 年追跡し、地中海食 + EVOO/ナッツが心血管イベントを約 30% 減らすことを示した、栄養介入研究の代表例。 です。 心臓や血管の病気になるリスクが高い (糖尿病がある、または喫煙などの危険な条件を 3 つ以上持つ) 55〜80 歳のスペイン人 7,447 人が参加しました。 参加者をくじ引きのようにランダムに分けて比べる、最も信頼性の高いタイプの試験 (RCTRCTRandomized Controlled Trial「ランダム化比較試験」。参加者をくじ引きのようにランダムに 2 つのグループに分け、片方には介入を、もう片方には介入なし (またはプラセボ) を与えて結果を比べる試験。条件をそろえやすく、「本当にその介入が効いたのか」を最も確実に確かめられる方法とされる。 — ランダム化比較試験) です。 参加者は次の 3 グループに分けられ、約 4.8 年間追跡されました。

  1. 地中海食 + エクストラバージンオリーブオイル (EVOO) を 1 日 50 g
  2. 地中海食 + ナッツを 1 日 30 g
  3. 対照 (低脂肪食のアドバイスのみ)

Estruch らによる 2018 年の再解析論文では、次の結果が報告されています。 心臓や血管の重大な出来事 (心筋梗塞、脳卒中、心血管が原因の死亡) が、 オリーブオイル群で 31%、ナッツ群で 28% はっきり減った としています[Estruch R 2018]。 論文では、この結果について「効いているのは脂の量ではなく、 食事のパターンそのものだと考えられる」と述べています。

PREDIMED は、最初、グループ分けの手続きに一部問題が指摘され、解析をやり直しました。 それでも、やり直したあとも効果ははっきり残りました。 食事の試験としてはかなり安定した結果で、各国のガイドラインに大きな影響を与えています。

認知機能・がん・全死亡への広がり

PREDIMED からは、派生した研究もいくつか出ています。 地中海食のグループで、認知機能のテスト (MMSE など) の低下が小さい乳がんになるリスクが下がる といった結果です。 ただし、これらは最初から主に調べる項目として決められていたわけではありません。 そのため、PREDIMED 本体ほど確実ではありません。 とはいえ、観察研究でも同じ方向の結果が一貫して出ています。

実践プロトコル

「地中海食」と聞くと難しそうですが、要点は次の数点にまとまります。

  • 調理の脂を、主にオリーブオイルにする (動物性の脂・大豆油・コーン油の代わりに)
  • 野菜・果物を、毎食 1 品以上
  • 豆・ナッツ・全粒穀物を、週に何度かの土台にする
  • 赤身肉は週 1〜2 回まで、魚は週 2〜3 回
  • 加工食品と精製した砂糖を、意識して減らす
  • お酒を飲む人は、食事中の少量の赤ワイン までにとどめる (任意)

日本食との相性はよいです。 米を雑穀や玄米に替える、大豆製品を使う、魚と野菜を組み合わせるなど、 和食の基本と地中海食は、重なる部分が大きいと知られています。

注意点

地中海食を取り入れるとき、いくつか気をつける点があります。

  • PREDIMED は、心臓や血管のリスクが高い高齢者を対象にした研究です。 健康な若い人でも同じ効果があるかは、まだ断定できません。
  • 「地中海食 = オリーブオイルを大量に」ではありません。EVOO の量は 1 日約 50 g = 大さじ 4 ほどです。 全体のカロリーを増やさず、他の脂と置き換えるのが前提です。
  • ナッツは、アレルギーや腎臓の病気に応じて、種類と量を調整してください。

老化のしくみへの効き方

地中海食は、LEVEL 0 で整理した 3 つのしくみ (酸化・糖化・慢性炎症) すべてに、横断的に効きます。PREDIMED のような大規模試験で一貫した結果が出ているのは、このためだと考えられます。中心にあるのは、慢性炎症を抑える働きです。オリーブオイルのオレオカンタール、魚の EPA / DHA、野菜のポリフェノールといった成分が組み合わさり、炎症の数値 (hs-CRPhs-CRPhigh-sensitivity C-reactive protein / 高感度 CRP血液中の C 反応性タンパクを精度の高い方法で測る検査値。少し高い状態が長年続くと、心血管疾患などのリスクが上がる慢性炎症の代理指標。健康診断のオプションで測定できる。 など) を下げる方向に働きます。inflammaging を抑える代表的な食べ方です[Franceschi C 2018]

酸化と糖化にも、同時に効きます。ポリフェノール、カロテノイド、ビタミン E など、いろいろな抗酸化成分を食品の形でまとめてとれます。サプリと違って害の信号が出にくく、酸化ストレス への対策になります。糖化については、全粒穀物・豆・野菜が中心なので、食後の血糖の上がり方がゆるやかになります。その結果、AGEs ができるのを抑える方向に働きます。

「1 つの成分を高い量でサプリにする」よりも、「食品の形でいろいろな成分をまとめてとる」ほうが結果が出やすい。これは栄養の研究で知られる原則です。地中海食は、3 つのしくみへの効果が、同じ食卓の上で同時に成り立つ点に強みがあります。

まとめ

  • 地中海食は、PREDIMED という大規模な RCT で、心臓や血管の重大な出来事を約 30% 減らしました[Estruch R 2018]
  • 1 つの食品ではなく、食事のパターン としてとらえます。
  • 日本食の基本と相性がよいです。
  • リスクのある中高年だけでなく、若いうちからの実践が望ましいです。

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ボスコ エキストラバージン オリーブオイル (イタリア産)
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PREDIMED 試験 (n=7,447、4.8 年追跡) で、地中海食 + EVOO 50 g/日が心血管イベントを約 31% 減少させた。本製品自体の RCT はないが、料理用 EVOO の選択肢として日本で長く流通している標準的な製品。

利点
  • 国内大手の安定供給
  • サラダ・調理用に汎用的
  • 瓶入りで酸化を抑えやすい
懸念点
  • 高品質な単一農園 EVOO と比較すると風味は穏やか
  • 脂質なのでカロリーバランスに注意 (大さじ 1 で約 110 kcal)
注意事項
  • · 酸化しやすいので、開封後は遮光して 1〜2 か月で使い切る
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References

  1. Estruch R, Ros E, Salas-Salvadó J, et al. (2018). Primary prevention of cardiovascular disease with a Mediterranean diet supplemented with extra-virgin olive oil or nuts. New England Journal of Medicine, 378(25), e34. doi:10.1056/NEJMoa1800389
    RCT (ランダム化比較試験)根拠:

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