週 150 分の中強度運動 + 筋トレ週 2 回
WHO 2020 が推奨する身体活動量 (週 150〜300 分の中強度有酸素 + 週 2 回以上の筋トレ) は、全死亡リスク・心血管リスク・がんリスクを下げ、サルコペニア予防にも有効です。[Bull FC 2020]
最終更新: 2026-05-09
運動は「あらゆる対策の中で最も汎用的」
運動が体にいいことは、医学のあらゆる分野で繰り返し確かめられています。心臓・血管の病気、がん、2 型糖尿病、認知症、うつ病、骨折、サルコペニアサルコペニア加齢に伴って筋肉量と筋力が減っていく現象。30 歳以降、対策しないと年に 1〜2% の筋量が失われるとされる。転倒・骨折・寝たきりの原因になり、レジスタンストレーニング (筋トレ) で予防できる。 (加齢で筋肉が減る状態)、そして死亡。どの角度から見ても、同じ関係が観察されます。体をよく動かす人ほど、これらのリスクが低い のです。
WHO 2020 ガイドライン — 何をどれだけやればいいか
では、何をどれだけやればいいのでしょうか。世界保健機関 (WHO) は 2020 年に、それまでの運動の指針を大きく改訂しました。Bull らが BJSM 誌に発表した論文では、成人 (18〜64 歳) への勧めが次のように示されています[Bull FC 2020]。
- 中くらいの強さの有酸素運動を週 150〜300 分、または 高い強さの有酸素運動を週 75〜150 分、あるいはこの 2 つを混ぜて同じくらい
- 筋トレを週 2 日以上、体の主な筋肉すべてに対して行う (中くらい以上の強さで)
- 座っている時間をできるだけ減らす
論文は「少しでも体を動かせば意味がある。勧める量に届かなくても健康の効果は得られる」と強調しています。逆に、勧める量を超えて動いても (週 300 分以上の中くらいの運動など)、さらに健康の利益が得られ、上限を設ける根拠はない とも書いています。
中強度・高強度の目安
「中くらいの強さ」「高い強さ」を体の感覚に置き換えるには、会話でチェックする方法が便利です。運動しながら話せるかどうかで見分けます。
| 強さ | 体感 | 心拍 (最大の %) | METsMETsMetabolic Equivalents運動の強度を表す単位。安静で座っている状態を 1 とし、ゆっくり歩きが約 2、ランニングが 7〜10 程度。「自分が今どのくらい激しい運動をしているか」をざっくり数値化できる。 の目安 |
|---|---|---|---|
| 軽い | 楽に話せる | 〜57% | 〜3 |
| 中くらい | 話せるが歌えない | 64〜76% | 3〜6 |
| 高い | 数語しか話せない | 77%〜 | 6〜 |
最大心拍数は、ざっくりした目安として「220 − 年齢」で計算できます (実際に測った値とのズレは大きいです)。正確に知りたい場合は、CPXCPXCardiopulmonary Exercise Testing心肺運動負荷試験。トレッドミルや自転車で徐々に運動強度を上げながら、呼気のガスと心電図を測って VO2max や運動耐容能を直接調べる検査。 (心肺運動負荷試験) で VO2maxVO2maxMaximal Oxygen Uptake運動中に体が取り込める酸素の最大量 (ml/kg/min)。心肺持久力 (心臓と肺の体力) の客観的な物差し。VO2max の低さは、喫煙や糖尿病より強く全死亡リスクと関連するという報告がある。 と一緒に測る のが理想です。
「座りすぎ」も独立したリスク
WHO ガイドラインの新しい点を紹介します。それは、運動の量とは別に「座っている時間そのもの」がリスクだと認められた ことです。論文では、長く座っていることが心臓・血管の病気・がん・死亡のリスクと関係すると述べられています。これらのリスクは、中くらい〜高い強さの運動を増やすことで、ある程度は (完全にではありませんが) 埋め合わせられる とされています。
デスクワーク中心の人でも、30 分に 1 回は立って歩く、通勤で階段を使う、立って会議をするなど、運動とは呼べない日常の細かな動き (NEAT) を増やすことに意味があります。
実践プロトコル
最低ラインは「週 150 分の中くらいの運動 + 筋トレを週 2 回」です。たとえば次のような組み方です。
- 月: ウォーキング 30 分 + スクワット・腕立て・プランク
- 火: 休み
- 水: ジョギング 25 分
- 木: 筋トレ (ジムか自宅で全身)
- 金: 自転車 30 分 (中くらいの強さ)
- 土: ハイキングか、好きなスポーツ
- 日: 休み
筋トレはとくに 加齢で筋肉が減るのを防ぐ (サルコペニア対策) で重要です。50 代以降は、運動の中心を有酸素運動から筋トレへ 移していく 考え方が勧められます。
注意点
- 心臓・血管の病気にかかったことがある、治療していない高血圧がある、中くらい以上の関節の病気がある場合は、始める前に医師の診察を受ける。
- 急に強くすると けがのリスクが上がる。1 週間ごとの増やし方は、前の週の 1 割程度にとどめる。
- 痛みは「我慢して乗り越えるもの」ではありません。適切な休みと、少しずつ負荷を上げることが基本です。
老化のしくみへの効き方
このセクションでは、運動が LEVEL 0 で整理した 3 つのしくみ (酸化・慢性炎症・糖化) にどう効くかを見ます。運動は、この 3 つすべてに横断的に効く、費用対効果の高い対策です。
中心は慢性炎症を抑える働きです。運動を続けている人は、CRP や IL-6 といった炎症の数値が低い傾向が観察されています。縮む筋肉から出る マイオカインマイオカインmyokines / 筋由来サイトカイン運動している筋肉から血液中に出されるシグナル物質の総称。免疫・代謝・脳の働きに影響し、運動の効果が全身に広がる橋渡しを担う。 という物質が炎症を抑える方向に働き、inflammaging をゆるやかに下げます[Franceschi C 2018]。
糖化への効果も大きいものです。運動はインスリンの効きをよくし、食後の血糖の上がり方を抑えます。これが長い目で見て AGEs のたまり方を抑える方向に働きます。さらに、運動は一時的には活性酸素を増やしますが、繰り返し続けることで体のサビ止めの仕組み (グルタチオン系・Nrf2 経路) が鍛えられる ホルメシスホルメシス「ほどよい負荷」が体の防御の働きを呼び覚まし、結果として耐性が上がる現象。例: 運動で生じる軽い酸化ストレスが抗酸化酵素の働きを高める。サウナの熱や軽い断食も同じ仕組み。 が起きます。その結果、酸化ストレス に負けにくくなります。
ウォーキング、筋トレ、HIIT (短い高強度を繰り返す運動) といった種類の違う運動が、どれも 3 つのしくみすべてに効きます。これが、運動が「あらゆる健康指標で最も費用対効果が高い」と言われる根拠です。
まとめ
- WHO ガイドラインは 週 150〜300 分の中くらいの有酸素運動 + 週 2 日の筋トレ を勧める[Bull FC 2020]。
- 座っている時間そのものが、別のリスク要因になる。
- 勧める量を超える運動にも、さらに利益がある。
- 中年以降は 筋トレの比重を高める とよい。
関連する製品
WHO 2020 ガイドラインは成人に週 150–300 分の中強度有酸素 + 週 2 回以上の筋トレを推奨。マットは『始めるハードルを下げる』ための補助具で、製品自体に死亡率低下のエビデンスはない。継続性を上げる手段としての位置づけ。
- 10 mm 厚で関節を保護し、初心者も継続しやすい
- 収納バッグ付きで取り回しが良い
- Amazon で安価に入手可能
- 上級ヨガでは厚すぎてバランスが取りにくい
- NBR 素材は新品時に独特の臭いがある
- · 心血管疾患・整形外科疾患のある方は運動開始前に医師相談
- · 硬い床に直接置くと裏面の防音性が下がる
References
- Bull FC, Al-Ansari SS, Biddle S, et al. (2020). World Health Organization 2020 guidelines on physical activity and sedentary behaviour. British Journal of Sports Medicine, 54(24), 1451-1462. doi:10.1136/bjsports-2020-102955ガイドライン根拠: 高